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Last updated : 01/23/06
メカニックアメリカ留学プログラム
アメリカで働くということ
フラットレートとは給与体系の一つ。店舗により、給与体系は異なりますが、アメリカではこのフラットシステムが多く採用されています。
フラットレート
一般的には、フラットレート
(
a flat rate)は「定額制」を意味します。たとえば、アメリカの住宅での電話料金体系はこのフラットレートシステムであることが多く、固定基本料金のみを支払い、地域局内通話は無料です。
サービス工場内におけるフラットレートとは、「ある一作業に対する工程数の標準」を前提に、メカニックに対する給与支払い体系を表します。
A
という作業がメーカーのコードブックにより1.5時間という作業時間と決まっていた場合(フラットレート)、1時間で作業を終わらせても2時間かけても、メカニックに支払われる給与は1.5時間分となります。
メカニックと給与システム
給与は2週間ごと。(一般にアメリカでは給与は2週間ごとに振り込まれることが多いようです)。完全に2週間おきの場合と、月に2回の場合とがあります。
メカニックは時給制です。1時間の時給額が決まっている固定時給制と、フラットレート時給制とに分かれます。フラットレートの場合、1時間の時給額は一定ですが、かける時間数が、「実際に作業に費やした時間」ではなく、「コードブック上の作業時間」となります。1日の就労時間と収入時間とは一致せず、8時間の就労時間に対して、収入時間は5時間であることも10時間であることもあります。
メカニックと雑用を担当するスタッフ
多くのディーラーでは、サービス部メンバーを「アシスタント役のスタッフ」と「メカニック」とに分けています。日本とは異なり、「人(メカニック)を育てる」という意識は希薄で、未経験の人をメカニックとして採用することはありません(ディーラーの場合)。
アシスタント役スタッフの仕事は、「洗車」「バイクをベンチに準備する」「試乗」など、メカニックが効率よく仕事が進められるようなアレコレ。メカニック留学参加者の皆さんは、サービス後のバイクを自分で確かめるため、試乗は自分で行っていますが、試乗から戻ると、次のバイクが既にベンチに載っているそうです。
アシスタント役スタッフの給与は、1時間何ドルと決まっている固定時給制で、仕事があってもなくても、仕事の手が早くても遅くても変わりません。アリゾナのディーラーでは、
MMI
生が、このバイトをしています。メカニックが、より効率よく作業を進めるため、自分専門の雑用をこなしてもらうスタッフを自分で雇う場合もあります。
メカニックに割り当てられる業務の内容(故障診断/リペアジョブ、リコール、定期点検、
PDI
/納車前点検、ハイパフォーマンス、アクセサリーの取り付け、クラッシュエスティメート、ワランティ等)は、店舗により異なります。
「エンジン」「シャーシ」「電気」などと分け、いわば横並びで担当が決まる場合は、得意なものを繰り返し行うことで、段階に慣れ、経験知も増え、より作業時間の短縮が期待できます。或いは、電気系の診断/修理は、経験の少ないメカニックに回すと、時間ばかりかかって売上を上げることができないという判断から、経験のあるメカニックにのみ任せる店もあります。
店舗により異なる給与システム
固定時給制、または、フラットレート時給制です。全員がフラットレートのところもあれば、全員が固定時給制で、一定基準のサービス効率を上げたメカニックに、そのパーセンテージに応じてボーナスを支給するところもあります。また、サービス効率の達成率によってフラットレートの時給額が変わることもあります。この場合、前の2週間では(自分の)サービス効率が100%だったので時給は20ドルだけれど、この2週間では120%を上げたので、時給が22ドルとして計算される、となるわけです(金額は仮定です)。
厳しい面を挙げると、一定の作業効率に一定期間達しないメカニックは解雇される場合もあります。
カムバック
作業がいくら早く済んでも、直っていなければもともこもありません。「直っていない」とバイクが戻ってきた(カムバック/
come back
)場合、原則としてはもとの作業を行ったメカニックが、再度、診断/修理を行います。そのメカニックで解決できない場合は、より経験を積んだメカニックに仕事が回ります。
回復されていなかったトラブルのリカバリー作業に対して、お客様に再度請求をたてることはできないため、メカニックに対しても時給は発生しません。自分以外のメカニックにその仕事が回った場合、その時間分がマイナスフラッグされることもあります。
時給/昇給
アリゾナ州の最低賃金は、5.19ドル(06年1月時点)。メカニックとして経験が少ない場合は、10ドルぐらいからのスタートとなるでしょう。採用時点で、時給の交渉を行います。
メカニック留学でも、この「時給の交渉」を行います。日本ではなじまない文化といえますが、「自分が何ができるのか」を売り込むという経験も、日米の差を体得する重要なポイントです。
一般に、採用(研修開始)後の3ヶ月間は試用期間
(a probation period)
です。仕事には「わりの良い仕事」もあれば「わりの悪い仕事」もありますが、試用期間中に、わりのよい仕事が回ってくることはまずありません。メカニック留学開始早々は、「アメリカ生活に慣れること」、「英語環境の職場に慣れること」などの緊張に加え、割の悪い仕事ばかりが回ってくるように思えて、試行錯誤の不安な模索が続きます。しかし、クレームや故障診断などばかりが回ってきても「このときが実力の見せ所」というのが、メカニック留学参加者の皆さんの一致する声。結果が具体的に数字にあらわれるため、試用期間終了時点での時給の交渉の根拠を作ることもできます。
時給額自体は、経営母体や所在地域(都会なのか田舎なのかなど)という各種事情により異なります。フラットレートのトップメカニックの時給は、最高で工賃の33%。状況が異なることもありますが、メカニック留学参加者の中には40%を手にする方もいます。
フラットレートシステム
とメカニック
「正確な修理は当たり前。時間をかけるなら素人でもできる。正確な修理を、いかに迅速にこなすかがプロ」は、メカニック留学参加者の方の感想ですが、
これがフラットレートの醍醐味といえるでしょう。腕が確かで早ければ、高収入という非常に具体的な結果を手にすることができます。また、「収入」という実利に加え、心理学者のマズローいうところの「自己達成感」を具体的に確実に得ることもできます。
問題点は、三つの意味での仕事量です。一つ目は、どうしても「オーバーワーク」になりがちな仕事量。目標が具体的な数字であるため、「100%では無意味。それ以上を目指して頑張るので、1日が終わると疲労困憊。クタクタに疲れています。」となります。二つ目は店自体の仕事量。季節によりどうしてもショップ自体の仕事量には波が出てきてしまいます。三つ目は、わりふられる仕事量の公平さです。
メカニック留学参加の皆さんは、これら長所や問題点を体験しながら、自分の実力の腕だめしをし、タイムマネージメントを学び、工夫をし、日米の違いを体感し、改めて日本の長所を再認識しつつ、自分の経験を日本にどう持ち帰るかを課題に、1年半を過ごします。